March 29, 2008

くさい話を書きます

26日の話ですが、高校の頃の友人に会ってきました。

親友と言う言葉で片付けてしまうわけにはいかない、僕の一番の理解者。

人生で一番辛いところと楽しかったところ、そのどちらにも彼がいました。

出会ったばかりの頃は、とてつもなく仲が悪かったというのがまた面白い。

まぁ、その頃の話は、ヤツの葬式の時に話すとして、今日は26日の話。


彼もまた苗字が伊藤で、イニシャルも同じY・I。

6年前に、料理人の修行の為、長野に行って、それから1年に1回東京に帰ってきます。

形は違えど、彼も僕と同じ夢追者。

1年に1回、それぞれの現状を報告し合います。


今日は、彼のオススメの店でランチ。

山手線の人身事故の影響で遅れてくる彼、開口一番「体は大丈夫なのか?ゆういち。」

僕も遅れて彼の体を心配する。

大概向こうの方が、弱っている。

自分が大変なときこそ、他人への気遣いを忘れない、立派な男だ。


彼が連れて行ってくれたのは、予約しないと入れない「隠れ家的」フランス料理屋さん。

彼の中で「隠れ家的」と言うのはとても重要なようで、駅からの道のりしきりに「隠れ家」と言う言葉を発していた。

森に迷い込んだチルチルミチルが、パンくずを巻きながら森を歩くようなものだと思ったのだが、僕も「隠れ家」と言う言葉に酔いしれ、彼の後を寸分たがわぬペースで「隠れ家」と口ずさみながら歩いた。

隠れ家は、歩いて15分ほどのところにあった。

話に夢中で通り過ぎなければ、10分かからないでついただろう。


落ち着きのある店内で、きどった感じはなく、どこにも、

「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください。」

「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」

などとは書いておらず、ちゃんとお客からの注文の多い料理店。

前菜とメインとデザートの選べるコース。

「何でも聞いてくれ」と彼。

たのもしい限り。


彼のオススメである、田舎風肉のパテ

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若鶏のシュークルートガルニ

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それから、名前も写真も忘れたが、ふわふわのメレンゲが、カラメルの湖から飛び立つ気球のようなデザートを注文した。

最初の写真の向かいに座っているのが彼だ。

デザイナーの息子のくせに、ファッションセンスはいまいち。

常人の及ぶところではないのかもしれないが。


隠れ家でこそこそとそれぞれの近況を話す。

いつも思うが、彼は本当に頑張っている。

僕の倍倒れている。

同い年で、彼ほどの根性を持った人間を僕はみたことがない。


高校の演劇部の同期なのだが、その頃の演劇部には鬼の部長がおり、7人ほどいた部員は全て辞め、上級生も辞め、2年の頭には僕と彼の二人になっていた。

お互い、相手が辞めたらやめようと思っていたので、当然辞められるわけもなく、3年になっても尚部長の座をあけわたさない悪鬼の下で修行を積んだ。

精神修行である。

演劇の基礎は大学で学んだ。

彼は、食物科に所属していたので、その頃からやはり僕より1歩夢に近かった。

だが、住む世界は違えど、悩みや不満は同じ。

同じ苦しみを持つ仲間、同じものを目指す仲間が、違う業界にいるのはとても心強い。

彼はいつも、「ありがとうな」と言って、去っていく。

ここまで書くとかなり格好のいい男だが、彼はがやると、とても格好がつかない。

右手を高々と掲げ、改札を通ると言うそのときに、財布を持っていないことに気付き、やや中座。

「ありがとう」と握手のやり直しだ。

僕はペンだこの手で、彼のフライパンだこの手を握り返す。


ほぼ同時に。

「頑張れよ」

と言う言葉がお互いの口をついて出る。

頑張っている者同士の「がんばれよ」には、一抹の不純物も混じっていない。

そのままの気持ちで受け止められる。


ありがとう。がんばるよ。



「仮説の仮設住宅」現在の順位は?

at 10:31│Comments(0)マクガフィンまたはしろうるり 

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